東京高等裁判所 昭和25年(ネ)1274号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔事實及び判斷〕
本件は家主たる被控訴人が自己使用の必要であることを理由として、借家人たる控訴人に対し、賃貸借の解約申入をなし、家屋の明渡を求めるものであるが、原判決は、右家屋の一部について解約申入の効力を認め、その一部の明渡を控訴人に命じた。
控訴棄却。家屋の使用に関し家主と借家人との必要程度が相ひとしい場合解約申入の正当事由はどんな基準にもとずいて判断さるべきであろうか。この点について判決は次の通り述べている。
「……であるから、控訴人が本件家屋を使用し得ない場合の困難と、被控訴人が本件家屋を使用し得ないための現在の困難とは、ほぼ同等とみることができる。そうすると、控訴人と被控訴人がそれぞれ本件家屋を必要とする程度はほぼ同等とみなければならないのである。ある家屋の使用に関し、所有者と所有者でないものとそれぞれの要求が相匹敵する場合には、所有者を優先させるのが相当である。これは、私法秩序の基盤として私所有権を認めている現制度においては、くだくだしく説明するまでもないことである。從つて被控訴人の本件家屋を自から使用する必要は、正当の事由をそなえているということができる。